数と式 方程式・式と証明

解と係数の関係とその計算

山口大学2023 文系 前期

単純な因数分解ができません。しかし、うまく\(A^2-B^2\)の形を作ることで因数分解ができます。
\(\begin{align}x^4-6x^2+25&=x^4+10x^2+25-16x^2\\&=(x^2+5)-(4x^2)\\&=(x^2+4x+5)(x^2-4x+5)\end{align}\)
となり、一見複雑そうに見える因数分解ですが、この形の因数分解は頻出なのでどの形の因数分解も当てはまらなければこの方法を試してください。

(2)は解と係数の関係を利用する問題です。しかし、解と係数の関係に気が付かなくとも()の問題のみなら解くことは出来ます。
ではまず、解と係数の関係での簡単な復習をしましょう。

解と係数の関係

\(ax^2+bx+c=0\)の2解を\(\alpha,\beta\)とすると \((a\neq0)\)
\(\left\{\array{\alpha+\beta&=-\displaystyle\frac{b}{a}\\\alpha\beta&=\displaystyle\frac{c}{a}}\right.\)

(1)より\(x^4-6x^2+25=0\Leftrightarrow(x^2+4x+5)(x^2-4x+5)=0\)
なので、\(x^2+4x+5=0\)の解を\(p,q\),
\(x^2-4x+5=0\)の解を\(r,s\)とすると、
解と係数の関係より、
\(\left\{\array{p+q&=-4\\pq&=5}\right.,\left\{\array{r+s&=4\\rs&=5}\right.\)

と表すことができます。

次はこれらを使って\(p^3+q^3+r^3+s^3\)をどのように表すかを考えていきましょう。
ここで登場するのが対称式です。

対称式

\(x^2+y^2=(x+y)^2-2xy\)
\(x^3+y^3=(x+y)-3xy(x+y)\)

対称式とはどの変数を入れ替えても変わらないような多項式のことを指します。
(上記の対称式の式は覚えていてもよいですが、応用がききやすくするために一度は自分で導いておくようにしておきましょう。)
特に有効的に発揮するときは\(x+yとxy\)(基本対称式)が分かっているときです。本問はこの値が分かっているため、対称式で解き進めていくのが最もよいでしょう。

まずは
\(\begin{align}p^3+q^3&=(p+q)^3-3pq(p+q)\\&=(-4)^3-3\times5\times(-4)\\&=-64+60\\&=-4\end{align}\)
同様に
\(\begin{align}r^3+s^3&=(r+s)^3-3rs(r+s)\\&=4^3-3\times5\times4\\&=64-60\\&=4\end{align}\)

すなわち
\(\begin{align}p^3+q^3+r^3+s^3&=-4+4\\&=0\end{align}\)
となり答えはとなります。

次に\(p^3q^3+p^3r^3+p^3s^3+q^3r^3+q^3s^3+r^3s^3\)の値を考えていきます。
先に結果からいってしまうと、今回のこの問題は
\(p^3q^3+p^3r^3+p^3s^3+q^3r^3+q^3s^3+r^3s^3\)のうちの\(p^3q^3+r^3s^3\)の値は上記の対称式からすぐにわかります。求めててみると以下のようになります。
\(\begin{align}p^3q^3&=(pq)^3\\&=5^3\\&=125\end{align}\)
\(\begin{align}r^3s^3&=(rs)^3\\&=5^3\\&=125\end{align}\)

残った部分は因数分解をして整理してあげると一度見たことのある形になります。
では、因数分解をしてみましょう!
\(\begin{align}p^3r^3+p^3s^3+q^3r^3+q^3s^3&=p^3(r^3+s^3)+q^3(r^3+s^3)\\&=(p^3+q^3)(r^3+q^3)\end{align}\)
となりました!
この値は一度求めているので、代入してみましょう
\((p^3+q^3)(r^3+q^3)=(-4)\times4=-16\)

なので、まとめてあげると
\(\begin{align}p^3q^3+p^3r^3+p^3s^3+q^3r^3+q^3s^3+r^3s^3&=125+(-16)+125\\&=234\end{align}\)

これで最後の値まで出すことができました!
 この問題は(2)までは、解と係数の関係や対称式を知らなくても解答することができましたが、時間がかかってしまうし、(3)を解くことができません。
 共通テストや国公立の2次試験、私大の入試の早さを必要する場面では、適切な解答方法を自力で見つけ出す力が必要になるので、基礎固めの問題を怠らないようにしてください!

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